2016年3月9日水曜日

ウィザードリィ


早川です。

アドバンストカリキュラム(以下AC)も池袋アカデミーではレッスン24まで進みました。予定表の発表方式にしてからもう少しで一巡です。ランダム式で教えはじめてからも三巡くらいは教えていると思います。もうすぐでね、形に出来るのは。

さて、ACではいくつか新しい用語が出てくることにお気づきかと思います。

ベーシックカリキュラムの時も、書籍「ブラジリアン柔術教則本」を発売する数年前から、アカデミー内では新しいTF用語をインストラクター達に使い始めてもらっていました。生徒さん達に徐々に認識を深めて頂くためでした。ACにおいても数ヶ月掛けて同じ作業をしています。

今日も会員さん同士で「先生が言ってたウィザーってなんだ?」みたいな話題が持ち上がってくれていました。嬉しいです。何のことはありません、昔から普通にあるレスリング用語です。

レスリング由来の名称は、トライフォースのグローバルネーミングでも採用しています。私が調べて探し出してくる名称候補に、レスリング用語が結構あるのです。

ウィザーはいわゆる小手巻きの状態ですが、小手巻き、オーバーフック、ウィザー、どれも同じポジションを差します。ただしウィザーに関してはタックルを切る時、あるいは”喧嘩四つ”状態の時しかほぼ用いません。オーバーフックを入れて、さらに体を開いた状態を差します。または切る動作そのものを差す場合もあります。

相手と正面から組む”四つ組”は英語ではオーバーアンダー(クリンチ)になりますし、”もろ差し”はダブルアンダー、両腕とも”閂(かんぬき)”で固めればダブルオーバーフックとなり、ウィザーとは呼びません。ちょっとややこしいのですが、規則性が分かってくれば慣れます。

2000年代中頃にブラジルからアメリカへと競技柔術の普及のフィールドが拡散してからは、柔術の動作やポジショニングの用語としてレスリング由来の名称が使われる傾向は、特に強くなっていると感じます。

レスリングでは、組手一つとっても、カラータイ、カラー&エルボータイ、ロシアンタイなど、きめ細かく分類されています。私はそういうことを調べるマニアなので、そういったレスリング用語を長年ずっと学習してきました。

結局、柔術で起こりうるシチュエーションやポジションも、大概のものはレスリングにあったりします。レスリングの歴史は相当深いです。古代ローマ帝国の時代から何千年も続いている格闘技なので当然と言えば当然かもしれません。

ただしレスリングにはガードポジション系のテクニックは皆無ですので、それらに該当する名称はほとんど見かけることはありません。背中を付けた状態から始まるムーブメントの名称は、まさにローマ帝国以来、今この現代から作られ始めるといっても過言ではないでしょう。

余談ですが、
グローバルネーミングでは「トレーニング用語」からも多くを採用させてもらっています。ピタっと来る名称、しっくり来る用語がたくさんあるんですよね。

ライイング・レッグドラッグの「ライイング」などもまさにそこから着想を得ました。私が行っている芝本とのマンツーマン・トレーニングでは、頻繁に新しい用語に出会います。その度に「ああ、この用語はあの技のあの瞬間を差すのに良いな」と思うわけです。規則性もちゃんとしてて面白いです。

以上、用語ネタでした。